Isar Aerospace、Spectrumロケットの打ち上げと衛星の軌道投入に成功
Isar Aerospace successfully launches Spectrum rocket and delpoys satellites in orbit.
2026-09-05
Isar Aerospace(ドイツ)は、新型ロケットSpectrumの打ち上げを実施。ロケットの軌道到達と搭載ペイロードの軌道投入に成功しました。欧州の民間宇宙企業(商業ロケット)による初の衛星軌道投入になります。Spectrumのローンチは、2026年9月5日、ノルウェーのアンドーヤ宇宙港から実施されました。ロケットはリフトオフ、Max-Q(最大動圧点)通過、第1段ロケットMECO(メインエンジン停止)、1-2段分離、第2段ロケット点火、高度100km(カーマンライン/宇宙空間)到達、フェアリング分離、軌道速度到達、衛星分離、までを正常に実施し、打ち上げと衛星投入は成功しました。
今回はSpectrumの2回目ローンチで、ミッション名は「Onward and Upward」です。搭載されたペイロードは、Cubesat(超小型衛星)6機と実験ペイロード1つとなります。1回目試験飛行は2025年3月に同じアンドーヤ宇宙港で実施されましたが、リフトオフ30秒で中断し失敗に終わっています。
Spectrumは全長28m、直径2mの2段式ロケットで、推進剤は液体酸素とプロパンを使用しています。ペイロード輸送能力は地球低軌道(LEO)へ1000㎏、太陽同期軌道(SSO)に700㎏と公表されています。
Specturmの開発、および今回のミッションは欧州宇宙機関(ESA)の商業宇宙輸送サービス育成支援プログラム「Boost!」の資金サポート等を受けて行われています。またIsar Aerospace(Spectrum)は、ESAのローンチャー支援プログラム「European Launcher Challenge」(ELC)の選定4社の1社となります。先月8月に、ELCの初回正式契約がESAと選定各社の間で締結・発表されており、Isar社は1億9780万ユーロの契約を獲得しています。
ELCでは、2027年中にロケットによる軌道到達が要求されています。この軌道到達に成功し、ペイロード軌道投入能力を実証すると、その後2030年までのローンチ運用に対しESAからの支援が受けられます。今回のSpectrumローンチはELCの認証飛行として実施されたもので、Isarは早くも軌道到達、衛星投入能力のマイルストーンを達成しました。
Isar社ではSpectrum2号機のローンチ成功により、次のフォーカスはローンチ連続成功、量産、定期運用への移行となります。Isarでは、Spectrum3~7号機がすでに製造中となっています。同社はSpectrum開発とともに、生産能力の強化を図ってきました。ミュンヘン近郊に建設した40,000m2の新工場では、自動化技術などを駆使して年間最大40機のSpectrumロケットの量産が可能な体制を構築したとのこと。また同社は設計、製造、試験までを内製化しており、生産の柔軟性向上やボトルネックリスク低減を図っています。ローンチサイトについては、アンドーヤ宇宙港に加えて、カナダで新たに建設が進むNova Scotia宇宙港に専用打ち上げ施設を構築する契約を締結済みです。
現在、小型衛星打ち上げで安定した運用を行っているのはRocket Lab社(米国)のElectronロケットです。Electronは地球低軌道(LEO)に300kgの輸送能力で、年間数十回のローンチ運用が行われています。SpectrumはLEOに1000kgの輸送能力で、今後高頻度運用への移行に成功すれば、現在供給が大きく不足しているローンチ輸送の新たな選択肢になることが見込まれます。欧州では厳しさを増す安全保障環境などを背景に、欧州の自律的な宇宙能力への強い政策需要が急速に高まっており、Isar社には追い風となると見込まれます。
【参考】
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【関連リンク】
European Launcher Challenge (ESA)
