NASA、Blue Originに火星衛星通信「Mars Telcommunications Network」の開発契約を授与
NASA awards Blue Origin a contract to develop the Mars Telecommunications Network
2026-09-02
NASAは、Blue Origin社に火星衛星通信「Mars Telecommunications Network」(MTN)の開発契約を授与しました。契約額は7億ドル。契約に基づいてBlue Originは、火星周回軌道宇宙機「Marts Telecommunications Orbier」(MTO)の開発、製造、ローンチ、運用を実施する計画です。MTOは、2028年末までにNASAに納入され、2030年に運用開始となる予定です。実現すれば世界初となる火星周回軌道上の通信専用衛星となります。
MTOは、火星地表の着陸機や探査ローバーなどからの通信データを中継し、地球との間に高速通信リンクを構築します。地球側ではNASAのDeep Space Networkなどの大型地上アンテナが交信を担います。MTOは、Blue Originの宇宙機プラットフォームBlue Ringをベースに開発されます。同機は1000kg以上のペイロード搭載が可能で、電気と化学両方のハイブリッド推進を備えています。複数の高レート指向性リンク、広域通信ビーム、AIオンボードプロセッシング、などを実装予定です。また少数のUHF帯小型リレー衛星を火星低軌道に追加展開が可能で、通信エリア補強や旧型アセットとの通信などを担保する、としています。
NASAとESA(欧州宇宙機関)は現在、火星・地球間の中継通信にMars Relay Network(MRN)を使用しています。火星地表の探査機やローバーと地球との直接通信も可能ですが、データ量は非常に限定されます。MRNは4機の火星周回宇宙機を使用しています。いずれも本来は科学探査機であるものを中継機として転用しているもので、かなりの経年もあります。MRNの4機の宇宙機の概要は以下のとおりです。
■MRN宇宙機
Mars Oddyssey(NASA): 2001年火星到着、中継継続中。通信量107MB/日
Mars Express (ESA):2003年到着、主にバックアップ。
Mars Reconnaissance Orbiter/MRO (NASA):2005年到着、主要中継機。通信量850MB/日
ExoMars Trace Gas Orbiter/TGO (ESA):2016年到着、中継能力最大。通信量2,281MB/日
(通信量はNASA発表、2026年の一定期間の平均値)
MRNとの地球側での交信は、NASAのDeep Space NetworkやESAのESTRACKなどの大型アンテナで行われています。
今回のMars Telecommunicataions Network(MTN)の正式な開発開始は、これまでの科学探査機の通信転用から、火星への専用通信衛星の展開に向けた転換点となります。MTNは火星・地球間の準常時通信を実現するもので、将来の火星ミッションの実現可能性を向上、担保することが見込まれます。
【参考】
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Mars Telecommunications Network (MTN)
