欧州宇宙機関、European Launcher Challengeの選定4社と契約 プログラムは実装段階へ
ESA signs contracts with four selected companies for European Launcher Challenge, moving programme into implementation phase
2026-08-27
欧州宇宙機関(ESA)は、新興ローンチ企業育成支援プログラム「European Launcher Challenge」(欧州ローンチャーチャレンジ)の選定4社との正式契約を発表しました。4社の契約概要、およびロケット開発状況は、以下のとおりです。
■Rocket Factory Augsburg(RFA, ドイツ)
契約額は、1億8690万ユーロで主にドイツが資金拠出、英国も支援。
RFAは新型ロケットRFA Oneを開発中です。RFA Oneは、小型衛星打ち上げ用の3段式ロケットで、3段目が軌道間輸送機(OTV)Redshiftとなっています。1・2段目にHelixエンジンを搭載、推進剤はケロシンと液体酸素です。輸送能力は高度500kmの太陽同期軌道(SSO)に1300kg、と公表されています。RFA Oneは、自動車用やエネルギー産業向けの民生・汎用品(COTS:Commercial Off the Shelf)のコンポーネントを活用することで、低コストで効率の良い開発を行ったとしています。英国スコットランド・シェットランド諸島のSaxaVord宇宙港から打上げ予定です。
■PLD Space(スペイン)
契約額は、1億5890万ユーロで主にスペインが資金負担、ドイツも貢献。
PLD Spaceは、新型ロケットMiura5を開発中です。Miura5は全高35.7m、直径2mの2段ロケットで、推進剤は液体酸素とバイオケロシンです。輸送能力は高度500kmの低軌道(赤道軌道)で最大1040kg、同高度の太陽同期軌道で540kgと公表されています。Miura5は、第一段ロケットを使い捨て仕様で運用を開始し、その後再使用型を導入する計画も有しています。PLD社では、2030年にMiura5のローンチを年間30回実施することを目指しています。フランス領ギアナの欧州宇宙港から打ち上げが予定されています。
■Isar Aerospace(ドイツ)
契約額は、1億9780万ユーロで主にドイツが資金を拠出、オーストリアとノルウェーも支援。
Isar Aerospace社は、新型ロケットSpectrumを開発しています。Spectrumは全長28m、直径2mの2段式ロケットで、推進剤は液体酸素とプロパンを使用しています。ペイロード輸送能力は地球低軌道(LEO)へ1000㎏、太陽同期軌道(SSO)に700㎏と公表されています。Isar Aerospaceは昨年3月にノルウェーのAndoya宇宙港で初回ローンチを実施しましたが、打ち上げ約30秒後に早期中断、失敗に終わっています。同社では2回目ローンチを同じAndoya宇宙港で準備中となっています。ローンチサイトは、Andoya宇宙港に加えて、カナダで建設が進むNova Scotia宇宙港が計画されています。
■MaiaSpace(フランス)
MaiaSpaceとの契約は、数週間で再開し完了見込みです。
MaiaSpaceは、欧州の基幹ロケットArianeシリーズの開発・製造主契約者ArianeGroupの子会社です。同社では、再使用型/使い捨て型の両仕様対応のロケットMaiaを開発しています。Maiaは全高50m、直径3.5mの2段式ロケットです。1段目に再使用型エンジンPrometheusを搭載しており、推進剤はバイオメタン+液体酸素となります。輸送能力は、太陽同期軌道(SSO)へ再使用型仕様で500kg、使い捨て仕様で1.5トン、また傾斜軌道で最大4トンとしています。
European Launcher Challenge(ELC)は、2023年11月のESA理事会で発表されたもので、将来に向けて欧州のローンチサービスの選択肢を増やし、宇宙への自律的アクセスを確保し競争力を高めることを目的とするプログラムです。ESA自身がArianeやVegaなどのロケット開発を主導する従来型に加えて、民間企業の独自ロケット開発を支援し、その打ち上げサービスをESAが顧客として購入し調達幅の拡大を目指します。
ELCでは、2025年7月に第1ステージ審査を終了し、今回の4社と英国Orbex社の5社が候補に選定されました。Orbex社はその後、2026年2月に破産手続き開始となり撤退しています。2025年11月のESA閣僚級理事会(CM25)でELCの予算が承認された後、第2ステージ審査を経て今回の最初の契約授与となりました。
4社には、まず2027年中にロケットによる軌道到達が要求されています。これはプログラムのComponent Aと呼ばれるスキームです。この軌道到達に成功し、ペイロード軌道投入能力を実証すると、その後2030年までのローンチ運用に対しESAからの支援が受けられます。
Component Bでは、軌道到達に加えてロケットの能力アップグレードを2028年までに実証することが要求されています。この能力アップグレードに関しては企業側の自己負担を求める共同出資方式(Co-funding)となっています。
【参考】
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European Launcher Challenge (ESA)
