Sarmonyとスペースワン、超低軌道(VLEO)SAR衛星の打ち上げに関して覚書を締約

Sarmony and Space One sign memorandum of understanding on the launch of very‑low‑Earth‑orbit (VLEO) SAR satellites.

2026-08-26

Sarmonyとスペースワンは、超低軌道(VLEO)SAR衛星の打ち上げに関する覚書(MOU)を締結しました。MOUに基づいて両社は、2028年にスペースワンのカイロスロケットで、Sarmony社の小型SAR衛星実証機SAR DiskSatの打ち上げ実施を目指して調整を行う予定です。また2029年以降のカイロスロケットでのSarmony社衛星の継続輸送についても協議予定とのこと。

スペースワンは、新型ロケット・カイロスの開発を手がけています。2024年に1回目打ち上げが行われて以来、これまで3回のローンチを試みていますが、いずれも失敗に終わっています。現在のところ、宇宙空間到達や衛星軌道投入を達成できていません。

Sarmonyは、超低軌道(VLEO)で運用する小型SAR衛星、SAR DiskSatの開発を進めています。DiskSatは、NASAのSmall Space Craft &Distributed Systems(SSDS)プログラムに基づいて、The Aerospace Corporationが開発した衛星プラットフォームです。DiskSatプラットフォームは直径1m、厚みが2.5cmの薄い円盤の形状となっており、オプションで電気推進機を装備可能です。円盤状の大きい平面を活かして大口径センサ・アンテナや、質量比で大きい太陽電池を搭載することが可能です。空気抵抗の少ない形状、高発電能力と電気推進機の組み合わせは、大気ドラッグ(空気抵抗)が高まる超低軌道(vLEO)での運用に適したものです。
SarmonyのSAR DiskSatは、このDiskSatをベースに開発されています。SAR DiskSatは、展開型パッシブ・スロットアレイアンテナを搭載し、サイズは縦横1m四方に厚みが13cmとなります。薄い側面を進行方向に向けて空気抵抗を抑え、高度350kmのVLEOでの運用を予定しています。また薄型形状のため、お皿を重ねるように効率良くロケットに多数機をスタック(積層)可能で、衛星コンステレーションの展開にも適しています。

今週米国ユタ州で開催されたSmall Satellite Conferenceで行われたSarmony社の発表によれば、同社ではSAR DiskSatの軌道上技術実証ミッションを2028年と2030年に予定しています。2028年の1回目ミッションでは、VLEOでSAR DiskSatを運用し高分解能を実証することが主眼で、固定ビームSARで分解能0.5m、観測幅10kmの撮像を目指します。2030年の2回目ミッションでは、Elevation Frequency Scan(EFS:エレベーション方向周波数走査)を用いて1.8mの高分解能と100kmの広域観測の両立を実証します。
SAR衛星における Elevation Frequency Scanとは、レーダー電波の周波数を時間(パルス内)とともに変化させることで、アンテナを物理的に動かさずに、エレベーション(上下・仰角)方向のビームを自動的に走査(スキャン)させる技術です。高解像度と広範囲の観測(ワイド幅)を同時に両立させる次世代のHRWS(High-Resolution Wide-Swath)SAR技術として研究・開発が進められています。
Sarmony社のSAR DiskSatは、2026年3月に宇宙戦略基金第2期事業の開発テーマ「革新的衛星ミッション技術実証支援」に採択されています。採択された同社の技術開発課題の名称は「低コスト・高分解能・広観測幅を実現する超低高度X帯SAR DiskSat」となっています。同事業では2030年までに技術実証を行い、その後5年以内の社会実装を目指すことになっています。また宇宙戦略基金事業は、国内ロケット企業のローンチ使用が要件になっており、いずれも今回のMOU締結や、SAR DiskSatに関するSarmony社発表と整合します。宇宙戦略基金のこの事業では、最大70億円の資金支援があることから、資金的な裏付けも担保されていると見られます。
超低軌道は100km~450kmの低高度領域です。地表に近いことのメリットとして、小型衛星の小さいペイロード(低コスト)でも高分解能撮像、低遅延通信が可能になることや、運用後に短時間で軌道離脱し宇宙デブリになりにくい、といった点があります。一方課題は、空気抵抗や重力が強く、推進装置による高度補償(修正)が多く必要になることや、原子状酸素による材料劣化、などが挙げられます。


【参考】

スペースワン

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