JAXA、宇宙戦略基金事業・第2期技術開発テーマ「空間自在移動の実現に向けた技術 」の実施機関として5社を選定
JAXA selects five companies as implementing organisations for the second phase of the Space Strategy Fund project's technology development theme: ‘Technologies for Realising Autonomous Space Mobility’
2026-01-23
JAXAは、宇宙戦略基金事業の第2期技術開発テーマ「空間自在移動の実現に向けた技術」の実施事業者として5社を選定しました。
衛星利用の一層の増加が見込まれる中、衛星への燃料補給、補修、移動などの軌道上サービスを活用し、長期的・効率的な衛星運用を目指すニーズが高まっています。また軌道上サービスの実現や、静止軌道や月など未だ高コストで開発難易度の高い領域での活動には、軌道間輸送による宇宙物流の確立がソリューションになることが見込まれています。
この技術開発テーマではこうした課題を踏まえて、以下の3項目の技術開発をセットで推進し、宇宙空間における移動技術の高度化、国際的な軌道上サービス市場の獲得、さらにこの技術をベースとして宇宙開発利用全体での競争優位性の確保につなげる計画です。
1:軌道間輸送機(OTV: Orbit Transfer Vehicle)の開発
2:軌道上燃料補給のコア技術開発
3:宇宙ロジスティクスの研究開発
技術開発の具体的内容は、以下のとおりです。
1) 軌道間輸送機については、2032年度までを目安に、地球低軌道(LEO)、静止軌道(GEO)、シスルナ領域(月周回軌道、ラグランジュ点)の各軌道をターゲットとする軌道間輸送機(OTV)を開発し軌道上実証を実施、TRL7レベルの達成を目指します。
2) 軌道上燃料補給技術については、2029年度をめどに、繰り返し補給可能なタンク充填式、またはカートリッジ交換方式による軌道上燃料補給のインターフェイスと燃料(推進薬)の移送技術を開発し、地上検証を実施します(TRL4相当)。またこのインターフェイスの国際標準化に向けた戦略を策定します。
3) 宇宙ロジスティクスの研究開発
2028年度をめどに、地上と軌道上の複数拠点を結ぶ宇宙物流ネットワークを最適化する技術を開発します。また、物流予測に基づく軌道間輸送の将来像、必要技術の識別、開発ロードマップなどを整理します。
この事業への基金からの支援金額の総額は300億円です。
1のOTV開発で1件上限が250億円、2の軌道上燃料補給技術で1件上限30億円、3の宇宙ロジスティクスの研究開発で1件上限が2億円、とされています。
今回選定された5社と、その技術開発課題の名称は以下のとおりです。
・日本電気(NEC)
多様な軌道で衛星・軌道上サービスを早期実現する軌道間輸送機の開発
・Pale Blue
シスルナ以遠における枝線輸送を担う超小型軌道間輸送機の開発
・三菱電機
自律的なRPOD 技術を活用した汎用軌道間輸送機の開発
<軌道上燃料補給技術>
・アストロスケール
静止軌道上でのサービスを見据えた電気推進薬の燃料補給技術の開発
<宇宙ロジスティクス研究>
・横浜国立大学
宇宙ロジスティクスにおける意思決定⽀援のための学際的解析⼿法の開発
軌道間輸送機や軌道上補給などのサービスは、今後の衛星運用や宇宙開発において主要なインフラとなるポテンシャルが高いことから、世界的に開発が進められています。
Impulse Space(米国)は、小型軌道間輸送機Miraがすでに商業ミッションを実施しているほか、GEOへの大型軌道間輸送機Heliosが今年飛行予定となっています。Heliosはすでに複数の契約を受注しており、同機を使用したライドシェアミッションCaravanも計画されています。
欧州ではInfinite Orbitsなどの欧州企業コンソーシアムが、軌道間輸送機GEORyderを開発中です。GEORyderはLEOからGEOへのキックステージとして機能するほか、静止遷移軌道(GTO)からGEOへの繰り返し輸送を行う予定です。また燃料補給機能を付与することも計画されています。
軌道上燃料補給では、昨年9月にフランス国立宇宙研究センター(CNES)が、技術研究事業にInfinite Orbits、Exotrail、Dawn Aerospaceを選定し開発を進めています。Dawn Aerospaceは自社で燃料補給用ポート(DFT: Docking Fueling Port)や、DFT付き推進装置をすでに商業展開しています。
Northrop Grumman社は軌道上サービス機MEVを開発しました。すでにGEOでクライアント衛星にドッキング・移動・保持する寿命延長サービスを完了した実績があります。今後、MEVは軌道上修理、アップグレード、燃料補給、デブリ除去、製造活動なども実施可能になるとしています。
【参考】
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【関連リンク】
MEV (Mission Extension Vehicle)
