NASAと米国エネルギー省、2030年を目標に月面原子力発電の開発・設置を推進
NASA and the US Department of Energy are advancing the development and deployment of lunar nuclear power plants, targeting 2030.
2026-01-13
NASAと米国エネルギー省(DoE)は、2030年を目標に月面に原子力発電装置(FSP: Fission Surface Power)を開発・設置することを目指して、新たなMOUを締結したことを明らかにしました。
昨年12月にトランプ政権は、大統領令「Ensuring American Space Superiority」(米国の宇宙優位性確保)を発令しています。この中には、2030年までの月面および軌道上の原子力発電の立ち上げ、が目標として明記されています。NASA-DoEはこれまでも提携して、長年にわたり月面原子力発電に関する研究開発活動に取り組んで来ましたが、こうした動きを受けて取り組みを加速させると見られます。
NASAでは、昨年8月にショーン・ダフィNASA長官代行の指令により、FSP開発の担当組織がGlenn Research CenterのExploration Systems Development Mission Directorate (ESDMD) に新たに設置され、FSPに関して民間宇宙産業に対する提案公募(RFP)が開始されていました。昨年12月にはアップデートされた提案公募が行われており、プロジェクトの具体化が進んでいます。
現状はまだ草案ですが、NASAが提案公募などで要件としている月面原子力発電(FSP)の計画概要は以下のとおりです。
(FSP計画の要件草案)
・2030年までにFSPのローンチ準備を完了させる。
・民間企業1社または2社を実施事業者(パートナー)として選定する予定。
・フェーズAでは、実施事業者はNASAと連携し、FSPの開発・実証・展開を行い、月面FSP運用を実現する
・フェーズBでは、民間事業者は月でFSPを運用し、NASA、他宇宙機関、民間ミッションに電力を販売する
・月面輸送にはアルテミスミッションの月着陸船HLS(Human Landing System)を使用する予定。HLSは現状、SpaceX社のStarshipとBlue OriginのBlue Moon Mk2が開発中。
FSPシステムの現状での要件概要は以下のとおりです。
(FSPシステム要件草案)
・シングルリアクター、100kWe以上の発電容量
・高純度低濃縮ウラン(HALEU)を燃料として採用。HALEUは地上のマイクロ原子炉などに使用される燃料。
・発電方式にクローズド・ブレイトンサイクルを採用
・月面での設計寿命は10年間
・アルテミスミッションの活動域である、月南極付近での運用を想定
・他にフェールセーフ施策や、月面有人拠点に対する被ばく量上限などの安全要件など
FSPの開発を急ぎ進める背景として、2024年に中国とロシアが月面原子力発電を2030年代半ばまでに協力して開発することを複数回アナウンスしている、ということもNASAの文書には明記されています。月面原子力発電が実現すれば、長期間にわたり燃料補給不要で、安定的な電力供給が可能となります。月面での越夜を含めて活動の選択肢が広がることが見込まれ、将来的には火星や深宇宙ミッションでの使用も想定されています。
【参考】
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【関連リンク】
HLS (Huma Landing System) 月着陸船
Fission Surface Power (FSP、月面原子力発電)
